俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 体力も精神力も酷使するので、無事に仕事を終えた頃にはいつもクタクタ。それでも、すっかり整備を終えた機体を見るだけで、胸に清々しい思いがあふれる。

 ――今日も頑張って飛ぼうね。

 空が明るくなってきた頃、そう小さく語り掛けてやるのが好きだった。


「なぁ涼野」

 仕事を終えた後、同じく夜勤組だった最上さんと一緒に自分のツールボックスを棚に片付けていたら、隣で私を見下ろす彼が言った。

「これから朝メシ一緒にどうだ? 牛丼とか」
「いいですねー……あ、でも」

 頭にパッと浮かんだのは深澄さんの顔だった。

 連絡すれば迎えに行くと言われていたから、ひと言相談した方がいいかな。

 少しの間考え込んでいたら、最上さんが髭の生えた顎をぽりぽりとかく。

「あー、パイロットの旦那に怒られるか。昨日もわざわざここまで迎えに来てたしな」
「旦那って、まだそんなんじゃないですよ」

 からかわれているだけとわかっているのに、頬が熱くなった。

 今までの人生で一度も浮いた話がなかったから、こういう時の対応がよくわからないのだ。

「まだってことは、付き合ってはいるんだろ?」

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