俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 その問いにも、即座に頷けない。一般的な『付き合う』とは違うだろうし、契約結婚の予定がありマンションに泊まる関係って、なんと説明したらいいのか。

「一応、婚姻届にはサインして、深澄さんのお宅にこれから引っ越す予定になっています」
「展開早っ。やっぱ、ほぼ旦那じゃねぇか」

 鼻で笑われ、確かに……と思う。けれど、第三者に深澄さんのことを〝旦那〟と言われると、どうにもくすぐったい。

 だからといって、私と深澄さんは利害一致の契約結婚なんですと明かすわけにもいかないし、困ってしまう。

 照れてうつむくばかりの私をジッと見下ろしていた最上さんは、人目を気にするように棚の周囲をキョロキョロした後、急に真剣な声音になって言った。

「なんかあったら、俺らに言えよ」
「えっ?」
「あー、ほら、あれだ。向こうは女扱いに慣れてるだろうが、お前はむしろ経験ないだろ? だから、男の生態について悩んだら、俺でも石狩でも信濃でも、話聞いてやるから」

 優しい眼差しに見下ろされ、彼の心中をようやく察する。

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