激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
でもやっぱり、未だにこの現状に頭での理解が追いついていない感覚がある。
自分には縁のなかったようなハイグレードマンションで、やっているのはいつも帰宅後にしている仕事の持ち帰り。やっぱり変な感じだ。
椅子に戻り、打ち上げ花火を描くために使うカラージェルを、持ち帰ってきた候補の色の中から選んでいく。
ひとつずつ蓋を開け、スパチュラでジェルを混ぜてから小さく切り取っておいたアルミホイルの上に数色を少しずつ取り出した。
アートに使用する極細のライナー筆を手に取り、チップに花火を描いていく。
こうやって作業に集中している時間は、比較的余計なことを考えずにいられる。
お店で接客中も、お客様との会話やオーダーいただいているネイル作りに真剣になっているから、あれこれ悶々と考え込む暇はない。
だから、仕事はより脇目も振らず取り組めてよりよくなるのではないかと自分に期待している。
「あぁっ!」
チップの上に全集中していたとき、突然部屋のドアがコンコンと二度ノックされた。
散った花火の再現するためにドットを打っていたところで、驚いて手元が狂いドットがぶれてチップを汚してしまう。
「開けるぞ」
「あ、はい」