激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
一体いつの間に帰ってきたのかと思いながらリムーバーを手に取った。
汚してしまったところを消すために、キッチンペーパーに液を取り出す。コットンだと埃がついてしまいため、こういうときに重宝するのがキッチンペーパーだ。
「仕事中だったか、悪いな」
「あ、いえ。お帰りになってたんですね」
香椎さんは出かけたときと同じスーツの姿。本当に今帰ってきたようだけど、まったく気づかなかった。
「ああ、ただいま。邪魔してもいいか」
「はい」
私から許可を得た香椎さんは部屋に入ってくるなり、私の作業しているデスクに近づいてくる。
物珍しそうにデスク上の物を見て、作業している私の手元をじっと見つめた。
「爪の上に絵を描いているのか?」
「これですか? はい、そうです」
「へぇ……器用なんだな」
「いえ、そうでもないです。それなりには描けますけど、器用というほどでは」
「いや、十分器用だろ。俺は絶対にそれはできない。そんな毛先の細い筆で」