激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


 お客様でもたまにそう言って感心してくれる方がいる。

 ネイリストにとって、爪の上にアートをしていくことはごくごく普通のこと。

 お客様の要望に添えられるよう、プロになってからも練習は欠かせない。

 でも、私はどちらかというとアートは得意なほうではない。

 レベルで表せば平均値くらいで、オーダーも見本があれば真似て描くことはなんとかできる。

 本当にアートが得意な人は、アニメのキャラクターなんかをこの小さなチップの上に描くのだ。

 いわゆる痛ネイルというものだけど、私はそのジャンルのものをオーダーされたら見本があっても描ける自信がない。


「ありがとうございます。あ、あの、何か?」

「ああ、前にうちに相談しにきた件。それが気になっていてな。その後はどうなんだ」

「あ……書き込みの件ですか。はい、その後は、特には」


 と返事をしたものの、あの後は特にウェブ上をチェックしていなかった。

 気にはなりつつも、チェックをするときはそれなりのパワーがいる。

 見たくないものを発見してしまったときの精神の疲弊は計り知れない。

< 109 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop