激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「その呼び方はいい加減終わりにしないか?」

「え……あ」


 言われたことの意味を察した京香は、途端に困ったように口ごもる。

 そのどこか困ったような様子が何とも可愛らしく、クスッと笑みがこぼれた。


「えっと……じゃあ、透哉さん……で?」


 初めて自分の名前を彼女の口から聞いて、歓喜のあまりぞくりとしていた。

 そんなことくらいでと自分でも笑ってしまいそうになる。こんなこと今まで一度もない。


「また少し婚約者らしくなったな。さすがに苗字で呼ぶのは他人行儀すぎるだろう」

「確かに、そうですね」


 茶葉から紅茶を淹れ、京香の洗ってくれた新しいマグカップに注ぐ。

 京香はミルクティーにしたいと言ったため、ミルクを注いだ。


「甘くしなくてよかったのか?」

「はい。大丈夫です。運びます」


 淹れたての紅茶を持って、京香はリビングのソファへと運んでいく。

 ローテーブルの上にカップを置き、絵柄が繋がるようにふたつをくっつけた。

 ソファに腰を下ろし、カップを見てふふっと笑う。

 その姿を目にしただけで、買ってきてよかったと思わされた。


「気に入ったか」

「はい。可愛い」


 そう言っている君が可愛いと、思ったままが口から出そうになったが、敢えて心の内に留める。攻めすぎても逆効果になりそうで難しい。

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