激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
ふと、脳裏に透哉さんの言葉が蘇る。
『悪に屈してはならない。誰にも、君のサロンを邪魔する権利はないんだ』
もしかして私とは、サロンを助けてもらう契約関係があるから一緒にいるだけ?
そう思うとすっと腑に落ち、納得がいく。
でも、あの言葉は嬉しかったな……。
「よろしくお願いします」なんて言う実乃梨の声に現実に引き戻される。
潤子伯母さんの和やかな笑い声を聞いていたら、途端に焦燥感に襲われる。
今すぐここを出なければいけない。
そう気づくと、勢いよく席を立ち上がる。
それと同時に先ほどのウェイターがやってきて、注文したアイスコーヒーを「お待たせしました」と置いた。
「すみません、これで!」
慌ててバッグから財布を取り出し千円札を抜き出す。それをテーブルの上に置き、ウェイターよりも先に席を離れていった。