激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「捜した。よかった、見つかって」
「どうして、捜すだなんて……」
置手紙にはお礼のみで、部屋を出て行く理由は残さなかった。
だけど、そんなこと私がわざわざ口に出すことでもない。透哉さんが私が出ていく理由を一番知っているはずだし、都合がいいとも思ったはずだ。
それなのに、透哉さんは訳がわからなそうに表情を歪める。眉間に僅かに皺が寄った。
「どうしてって、何を言ってるんだ。当たり前だろう、突然あんな置き書きを残して。訳がわからない。何かあったのか?」
何かあったかって……そんなこと、なぜ私に訊くの?
透哉さんは、実乃梨と縁談を進めていることを私が知らないと思っているのだろう。だから、こんな言い方をしているに違いない。
もう、私はすべて知っているというのに。このまま私には言わずに、あのマンションからも出ていって、自然消滅でもすることを望んでいたのだろうか。
それだったら、私にだって考えがある。
「こっちで……東京でやっていく自信がなくなったんです」
「え?」
「お店も……最近上手くいかなくなってきているし、やっぱり都会は性に合ってないんだって、そう思い始めたから」
そう言うと透哉さんは小さく息をつき、ゆっくりと立ち上がる。
彼の姿を見上げることはできず、私は自分の足下一点を見つめていた。