激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「ちょうど、良かったと思いますよ? 私が、出ていって……。だって、もうすぐ私たちの関係も終わるんですから」
毅然とした態度で言おうとしても、喉の奥が詰まるようにして言葉がスラスラ出てこない。それどころか声が震えている。
「一体何を言ってるんだ? 関係が終わる? 訳がわからないことを言うな」
「訳がわからないって、私、全部知ってるんですよ。透哉さんが、実乃梨との縁談を進めることになったこと」
ここまで言えば、透哉さんはハッとした顔を見せるに違いない。
しかし、彼の表情は一切変わらない。目も逸らさず、じっと私の目の奥を見つめる。
何か後ろめたいことがあるならば、こんな風に目を合わせられないはずなのに。
「何か大きな勘違いをしているようだが」
「勘違い……?」
「以前の縁談が進む? そんなこと有り得ない」
「だって、私見たんです! 透哉さんが、伯母と従姉妹に会っているところを、この目で見たんです」
訴えるような私の声はボリュームを増し、周辺の迷惑になりかねない。
「とにかく、戻るぞ」
透哉さんは私とは対照的に落ち着いた声でそう告げ、今度こそ私の腕を引いていく。
もうこれ以上の話は聞かない。とにかく付いてこい。そんな気持ちが掴まれた腕から伝染してきて、もう行かないなんて言えなかった。