激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「覚えてないか? ショッピングモールで、絆創膏をもらった」


 そう言われて、記憶の引き出しを漁り始める。


「あっ……もしかして、あのときの」


 出来事は思い出したものの、顔がはっきりと浮かんでこない。

 それがなぜなのか、一瞬にしてあの日のことを思い出した。


「私あのとき、仕事中に粉塵が目に入って、それで一時的にコンタクトを外してたんです。私、かなり目が悪くて。外すと少し遠いものは全部ぼやけちゃって」


 従業員通用口を出たところで目の前に人が立っていて、あまり見えていない目がその腕に引きつけられた。

 明らかに血が流れているように見えて、考える間もなく声をかけたのを記憶している。

 まさかあのときの人が、透哉さんだったなんて……そんな運命みたいなこと。

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