激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「京香が目の前で苦しんでいるのに、本当に何もできなかった」
「え……?」
「もっと、何かしてあげられたらと思っていたが……無力だった」
「そんなことないです! そばで手を握って、声を掛けてもらっていたのがどれだけ心強かったか。ひとりだったら不安に押し潰されてたかもしれないですけど、透哉さんがいてくれたから頑張れたんですよ」
無力なんてとんでもない。
訴えるような私の声に透哉さんは微笑を見せる。
「情けないくらい、見事に狼狽するだけだったんだ。そんな俺の前で、京香は新しい命をこの世に送り出してくれた」
「透哉さん……」
「十か月間お腹の中で守り育ててくれたことも、心から尊敬する。ありがとう」
真っすぐ真剣な目で見つめられ、横に小さく首を振る。
十か月間無事に過ごしてこられたのは、私ひとりの力ではない。透哉さんがそばで見守り、いつも気遣ってくれたからだ。