dull
頭が痛い。土曜日の朝はいつもこんな風に酷い頭痛とともに目が覚める。そしてもう二度と飲むのをやめようと思う。が、金曜日になるとどういうわけかボトルに手が伸びる。サイドボードに新しいウィスキーが補充されているのが不思議だ。
「明…」
うつぶせの明の陽に焼けた背中に手を置いてそっと揺すった。明の背中が温かい。
「明…」
もう一度揺すった。クフーっと溜息をついて明が目を覚ました。
「出勤かぁ?」
寝ぼけてはいるがスマートさを失わない口調で明が言う。
「まだよ。朝食にする? シャワー?」
「シャワー」
そう答えはしたものの動く気は無いらしい。目を開けないし何も言わない。明を乗り越えてベッドから下りバスルームへ向かった。温水器のスイッチを入れるとゴウという音を立ててボイラーが点いた。お湯の温度が定まったところで頭から浴びた。うつむくとこめかみから頭頂部にかけて死にそうなくらいの痛みが走って心臓がそこに移動したかのようにドックンドックンと音を立てた。シャンプーを終えたところで明が入って来た。
「おはよ」
「おはよー」
壁のフックからシャワーヘッドを外して明に手渡した。やはり彼も頭から浴びた。シャンプーを始めたので今度は私がシャワーヘッドを受け取り、フックには戻さずに体を洗った。時々いたずらして明にシャワーを向ける。シャンプー液が目に入って痛がる明に抱き付かれ、折角洗い流した私の髪や体にまた泡が付いてしまった。泡の付け合いっこと流し合いっこを繰り返して、おっと時間だ、と切り上げた。
電話が鳴っている。水滴をしたたらせたままレシーバーを耳にあてると、返事をする間も無く、
「明居る?」
朋子だ。私と同じく明を適度に必要としている女。取り合いしてはいない。恋のライバルでもない。朋子と私って男に対してドライだ。明はイヤがりもせず2人を相手に遊んでいる。でも、多分明は朋子より私のほうが好き。それが証拠に朋子の誘いは断っても私の誘いは断ったことがない。
「居るわよ。今シャワー浴びてる。ちょっと待って」
バスルームまで電話のコードを引っ張ると、頭を拭き拭き明が立っていた。
「明…」
うつぶせの明の陽に焼けた背中に手を置いてそっと揺すった。明の背中が温かい。
「明…」
もう一度揺すった。クフーっと溜息をついて明が目を覚ました。
「出勤かぁ?」
寝ぼけてはいるがスマートさを失わない口調で明が言う。
「まだよ。朝食にする? シャワー?」
「シャワー」
そう答えはしたものの動く気は無いらしい。目を開けないし何も言わない。明を乗り越えてベッドから下りバスルームへ向かった。温水器のスイッチを入れるとゴウという音を立ててボイラーが点いた。お湯の温度が定まったところで頭から浴びた。うつむくとこめかみから頭頂部にかけて死にそうなくらいの痛みが走って心臓がそこに移動したかのようにドックンドックンと音を立てた。シャンプーを終えたところで明が入って来た。
「おはよ」
「おはよー」
壁のフックからシャワーヘッドを外して明に手渡した。やはり彼も頭から浴びた。シャンプーを始めたので今度は私がシャワーヘッドを受け取り、フックには戻さずに体を洗った。時々いたずらして明にシャワーを向ける。シャンプー液が目に入って痛がる明に抱き付かれ、折角洗い流した私の髪や体にまた泡が付いてしまった。泡の付け合いっこと流し合いっこを繰り返して、おっと時間だ、と切り上げた。
電話が鳴っている。水滴をしたたらせたままレシーバーを耳にあてると、返事をする間も無く、
「明居る?」
朋子だ。私と同じく明を適度に必要としている女。取り合いしてはいない。恋のライバルでもない。朋子と私って男に対してドライだ。明はイヤがりもせず2人を相手に遊んでいる。でも、多分明は朋子より私のほうが好き。それが証拠に朋子の誘いは断っても私の誘いは断ったことがない。
「居るわよ。今シャワー浴びてる。ちょっと待って」
バスルームまで電話のコードを引っ張ると、頭を拭き拭き明が立っていた。