王様に逆らった時【完】
ふわりとシトラスの香りが鼻を掠める。
私の身体に回る腕。
伝わる体温。
向かい合って抱きしめられていると理解するのには時間がかかった。
身長差があるため、想ちゃんの胸の辺りに顔を埋めるかたちになった。
「はぁ…可愛すぎんだろ。」
「…え、」
ため息は混じりに紡がれた言葉に、驚きを隠せない。
想ちゃんの声は聞いたことがないほど、甘い声だった。
体が痺れる感覚。
「俺もさくらが好き。」
「え、…う、嘘。」
夢みたい。
いつも王様だった想ちゃんが、私のこと?
抱きしめられている想ちゃんの胸から大きい鼓動が聞こえてくる。
「嘘じゃねえよ。…気づいてないのさくらだけだよ。周りはみんな気づいてるっつーの。」
こんなに優しい想ちゃんの声。
「え!?そうなの?」
みんなって、幸村先輩も輝明先輩も?!