子作り婚の行方。～年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋～
　私は覚えていないが、竜神さんの話によると秘書課の女性たちの姿はなかったそうだ。

「実はね、円花ちゃん。嫌な噂を耳にしたのよ」

「噂？」

「円花ちゃんが、あっさりとお持ち帰りされたって。社内の男の誘いは断るくせに、社外の男とは遊んでるらしいってね」

「えっ、そんな」

　水咲先輩は、あたかも自分がそう噂されたみたいに嫌な顔をする。

「営業の男どもがそんな話をしてからふざけんなって怒ってやったわ」

「先輩――。ありがとうございます」

　でも、あながち嘘ではないことに私は苦笑するしかない。

　社内の男性からの誘いは断っているし、先週の合コンは知らずに行ったとはいえ社外の男性が相手だった。

「噂の発端は参加者しかないわ。竜神さんが言うはずないんだもの。となると、時野さんと秘書課の三人の誰か」

「心配してくれてありがとうございます。でも私は大丈夫です」

　合コンだとわかった時点で帰らなかった私も悪いのだ。

　今はそうあきらめている。

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