俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
 一瞬ピンとこなくて、オウム返しに聞き返す。南は「あ、ごめん」と小さくつぶやいて、訂正する。

「社長のこと。ワンマンな面もあるけど、社員のことは大事にする人だから」

 短い言葉でも、ふたりの関係性はなんとなく伝わってくる。

(そういえば、社長も南さんのこと呼び捨てにしてたな)

「南さんと社長は……仲がいいんですね」

 そう言うと、南はちょっと困ったような顔になる。

「う~ん。同じ年だし、長い付き合いだから」

 もしかして恋人か元恋人? なんとなくそんなふうに思ったけれど、詮索するつもりはなかった。自分も実家のこととか、話したくないことがあるからだ。
 けれど、南はなにか感じ取ったらしく、顔の前で片手を振った。

「やだ、誤解しないでね、元彼とかそういうのでは、断じてないから! お客さまにもときどきその手の勘違いされちゃうのよ~」

 南が違うと言うのなら、そうなのだろう。日菜子は素直にうなずく。

「承知しました。そういうことは言わないよう注意します」
「あはは、ありがと」

 南はそこでふいに真顔になる。探るような目で日菜子を見る。

「なにか?」
「まさか……日菜子ちゃん、善に一目惚れとかしてないよね?」
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