おネエ(男)が悪役令嬢に転生【連載】

悪役令嬢、イブリン

 ここは乙女ゲームの世界。貴族たちがお酒を楽しむ社交の場である。ここに、悪役令嬢、イブリンも席に着いている。まだお酒はひとくちも飲んではいないイブリン。彼女は二十歳になったばっかりである。爵位は公爵令嬢である。
 イブリンは二十歳になって初めて見るお酒に目をキラキラとしている。これが大人の世界。イブリンはそう思った。
 ちなみに、イブリンが悪役令嬢と呼ばれるわけは、とある男爵令嬢をいじめているから。その男爵令嬢こそが、この乙女ゲームの世界のメインヒロインである。名前はアイラ、十六歳。もちろんこの場にはアイラは居ない。
 さて、イブリンがお酒をドキドキしながらひとくち飲んだ。すると、イブリンの頭の中に、とある映像が入って来る。それは男なのに女口調の人々、自分も男なのに女口調? その映像はやけにリアルである。おネエ、そう呼びあっている映像。これは記憶? そして、悪役令嬢イブリンは思い出す。
 自分の前世がおネエ、おネエのバーでお酒を一気飲みを繰り返す、それからポックリいったことを。
 周りの人たちがイブリンに声を心配そうにかけている。イブリンは顔が真っ青であった。前世がおネエ、悪役令嬢イブリン、そう、乙女ゲームの世界に転生したのである。
< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop