魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
椎名が謝罪しようとするのを阻み、唐揚げを一つ箸で摘まんで自分の取り皿にのせた。
彼女は、ハンガーで俺が不機嫌になった理由を、見抜いている。
謝罪など聞いたら、ますます自分が不可解になりそうだった。
彼女の視線を感じながら、俯きがちに食べ進める。


椎名が、諦めたように箸を取った。
だし巻き玉子をチビチビと口に運ぶ様を窺い、俺はその心中を測る。
胸が疼く自分が不審で箸を置いた。
視線を横にずらし、口元を手で覆って……。


「今日……さ」

「あのっ……」


話題を探して、聞きたかったことを思い出して口を開いた途端、なにか言いかけた彼女と被った。
椎名が先をのむのを見て、シートに深く背を預ける。


「今日……アイツの方から来たんだろ?」

「え……」

「今野。なんの用だったの?」


俺が質問を畳みかけると、椎名はパチパチと瞬きを繰り返した後。


「聞きました。神凪さんと今野さんって、幼馴染なんですね」


改まった様子で答える彼女に、俺の指がピクリと反応した。


「前に話してくれた、パイロットになってって言った幼馴染って、今野さんですよね?」

「…………」


椎名がその先なにを質問してくるか。
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