魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
俺がしたいこと、嫌がることを知ろうとしない女ばかりで、言い寄られて始まっても、いつも振られる形で終わる。
おかげで、別れる時は俺もせいせいしていた。


それなのに、どうして。
椎名が振り向かない、俺を好きにならないことがもどかしい。
彼女の目に俺を映したい焦燥感で苦しくて切ないなんて、俺は一体――。


「っ……」


自分自身が理解できない覚束なさに、グッと声をのんだ。
口元を手で覆い、顔を背ける。


「神凪さんが……」


椎名が掠れた声を零すのを拾って、口から手を離した。


「神凪さんが今野さんを抱きしめようとしたからって、詰って怒るなんて。そんなことできるわけないじゃないですか」

「……え?」

「神凪さんは、たとえ私が彼女になっても、本心を見せない。だって、神凪さんが素になるのは、私じゃなくて今野さんといる時だって、わかっちゃったのに」


困ったように微笑まれ、俺の身体は無自覚に強張った。
そんな俺をどう捉えたのか、椎名は「はは」と乾いた笑い声を漏らす。
俺は視線を返すことができずに目を彷徨わせ……彼女の荷物の上で留まった。


「私、神凪さんに無関心なんかじゃありません」


椎名は話の先を続けていて、ズッと洟を啜った。


「むしろ気になってます。わざわざ札幌まで来たのも、あなたの本心を確かめたいから……」

「ストップ」
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