魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
俺が『別に』と答えると、予想が外れたのかきょとんとした顔をした。


『うちの親が、俺が好きだろうと思って買ったんだと思う。でも、そういうことにしておけばいい』

『?』

『俺のためには違いないから。俺が言わなきゃ平和だろ』


そう説明した俺に、瞳は困惑した様子だったけれど。


『カッコつけてないで、本当に欲しい犬はなにか、言えばよかったじゃない』


次の瞬間、鼻息荒く憤慨した。


『は?』

『言わなかったなら、この子のこと好きって認めなさいよ。そうじゃなきゃ、なんの罪もないこの子が可哀想じゃない』


プリプリする彼女に呆気に取られ、俺は一瞬言い返すのを本気で忘れた。
たっぷり二拍分、ムッとするのが遅れ――。


『うるせーな。こうやって散歩もしてるし可愛がってる。お前に関係ないだろ』

『関わっちゃった以上、関係なくないし! この子が可哀想だから、あんたが散歩する時は私が一緒に行って見張る。あんた、何君?』

『……愁生』

『私、瞳。よろしくね』


――子供の時とはいえ、彼女の剣幕に圧倒されて言い負かされた。
思い返すまでもなく、瞳は明るくて元気で、あの頃から男勝りな性格だった。
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