魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
「なあ」

「ん?」

「お前と佐伯。お前の方から告白したんだよな?」

「っ、ごほっ」


軽く身体を傾けてコソッと聞くと、瞳は噎せ返ってゴホゴホと咳き込んだ。


「ちょ、いきなりなによ?」


わずかに頬を朱に染め、ムキになって睨んでくる。


「からかってるんじゃない。ただ知りたい。どうしてそんなに欲しがれたのか」

「は?」

「それでもし振られたら、どうするつもりだった?」


ひょいと肩を竦めた俺に、虚を衝かれたように目を丸くした。
そして、


「ぷっ」


口元に手を遣って吹き出す。


「……なんだよ?」

「はいはい。愁生、椎名さんに振られたらって考えて、怖くなっちゃったんだー」

「なっ……!?」

「わかるわかる。そりゃ、臆病になるわよね」


上から目線で顎を上げられ、俺は思わず言葉に詰まった。
聞くんじゃなかったと後悔して、忌々しく目を彷徨わせる俺を、瞳がふふっと笑う。


「真面目に答えます。振られるかもって考えたら怖かったけど、それより好きって気持ちの方が強かったからよ」

「真面目でそんなもんかよ」

「そんなもんってことないでしょ」


憤慨する彼女に、俺は黙って眉をひそめた。


「愁生は自分から好きになって恋愛したことないもんね」

「……別に、ないってことは」
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