魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
私は仕方なくスマホを確認して、ハッと息をのんだ。
遥の視線を気にして、無言でテーブルに戻す。
だけど着信は続いていて、テーブルに振動が伝わってしまう。
上目遣いで私を探っていた遥が、両手で頬杖をついて目を細めた。


「もしかして……神凪さん?」


私は返事に窮し、言い淀んだ。


「……ふふっ」


遥は小気味よく笑って、サッと立ち上がった。


「私、そろそろ戻らなきゃ。だから心置きなく電話に出て!」

「え? ちょっ……」

「じゃあね~」


腰を浮かせて止める私に構わず、訳知り顔でヒラヒラと手を振り、テーブルから離れていってしまった。
私は中途半端な体勢のまま彼女を見送って、ストンと椅子に腰を戻した。
スマホはまだガタガタと音を立てている。


「遥のバカ……」


気を利かされたのが居心地悪くて、ぽつりと独り言ちながら、スマホを手に取った。
モニターに浮かぶ『神凪さん』という表示を一度睨むように見据えて、意を決して応答ボタンをタップする。


「もしもし」


息をのむような間の後。


『……あ、俺。おはよう』


やけにたどたどしい声が耳に届いた。


「はい。おはようございます」
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