魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
「は、はい」

「お互い大変な一日で、お前も相当疲れてるだろうけど」


神凪さんは俯いて一旦言葉を切り、


「一緒にいたいんだけど。今夜」

「えっ……」

「パリ土産。気に入るかどうかわからないけど、買ってきたから渡したい。それから、出発前にした話の続きもしたい」


なにやら必死になって、早口で理由を捲し立てる。
私が息を潜め、黙ったままなのが不満だったようで。


「あんな窓ガラス越しじゃなくて、ちゃんと会って抱きしめたいって気を逸らせてたの、俺だけかよ……」


不貞腐れた様子でボソボソと呟く彼に、私の心臓がドクッと沸いた。


「……ダメ?」


同じ目線から上目遣いに探られ、無意識に胸元の服をぎゅっと握りしめる。
私は、一瞬目を泳がせ――。


「……待ってた」

「え?」

「私も、待ってました。神凪さんが帰ってきて……あの続き、ちゃんと言ってくれるの」


勢いに任せて口走り、真正面から彼の目を見つめ返す。
神凪さんは、意表をつかれた様子で何度か瞬きをしてから、


「はっ……」


目元を綻ばせて、短い息を吐いた。


「じゃあ……このまま、俺のマンションに直行ってことで」


耳元で囁かれ、私の胸は大きく飛び跳ねた。
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