魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
神凪さんは自分の車に私を乗せ、空港の駐車場から走り出した。
助手席に座る前から、私の心臓はドキドキと音を鳴らして拍動していた。
彼の家に着いたら、この後――。


「え。それじゃ、今日のランディング、神凪さんが操縦してたんですか?」


緊張と、確かな期待で高揚する自分を誤魔化そうと、私は普段通りの会話に徹した。


「ああ」


神凪さんが、フロントガラスをまっすぐ見たまま、相槌で返す。


「そうなんですか。私たちはてっきり……」

「パリ出発前から羽田の悪天候はわかってたけど、久遠さんが俺に任せてくれた」

「そ、そう言えば久遠さんって、神凪さんのことすごく評価……」

「芽唯、着いたよ。あのマンション」

「っ」


空港から十五分ほど走ったところで、スタイリッシュな外観の高層マンションを指さされ、私はグッと声をのんだ。
地味に焦る私とは真逆に、神凪さんは悠然とハンドルを操作する。
地下駐車場で車を停止させると、私に先に降りるよう促した。


言われた通り、私が助手席の横に立ったまま待っていると、続いて彼も運転席から降りた。
ドアをロックして、コートのポケットに車の鍵を突っ込むと、


「おいで」


私の先に立って歩いていく。


「は、はい」


私は無駄に辺りを見回しながら、彼の二歩後からついて行った。
外観に負けず、エレベーターも立派だ。
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