魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
どうやら居住フロアに直結のようで、音もなくスーッと昇っていく。


「わ、わー……」


エレベーターは反面ガラス張りだった。
背中側に広がる、都会のイルミネーションが煌めく夜景に目を奪われ、思わずガラスに張りつく。


「すごい、絶景」


私の後ろに、神凪さんが立った。


「コックピットから見下ろす景色とは、比較の対象にもならない」


不遜な一言で台無しにしながら、私の顔のすぐ横で、ガラスにトンと手を突き……。


「っ……」


背中にうっすらと体温まで感じる距離の近さに固まる私に構わず、背を屈める。


「今回のパリも、羽田便だとナイトフライトで結構綺麗だけど。日常的に楽しめるのは新千歳便かな。お前もこの間見ただろ?」


耳元に顔を寄せて問われ、私は条件反射で耳を押さえた。


「? 芽唯?」


怪訝そうな声には、勢いよく首を縦に振って応える。


「は、はい。見えました」


熱を帯びた耳を手で隠したままそっぽを向き、さりげなく彼の腕から逃げる。


「……?」


私の態度に不審げな彼の気配をビシバシと感じながらドアの前に立ち、エレベーターの階数表示を見上げた。
箱が上昇していくのにますます緊張が増し、力ませた肩がカタカタ震える。


「あ、あのっ。今日のランディング、ほんとよかったです。ホッとしました」
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