魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
しどろもどろになって、取ってつけたような質問をすると、佐伯さんが「ああ、うん」と応じた。


「運航管理部に用があって。……そっちはなんか、見慣れない取り合わせだけど」


ちょっと戸惑ったように、神凪さんに視線を投げる。


「知り合いだったの?」


私たちの横に並んで、しげしげと顎を撫でた。


「ああ……」

「しっ、知り合いってほどでもないです」


返事をしようとする神凪さんを、私は上擦った声で阻んだ。


「この間、燃料タンクについて、ディスパッチャーから照会あったじゃないですか。あの時私が対応して……」

「ああ。あれ、神凪のシップだったの?」


思考回路をフル稼働させて思い出したことを口走ると、佐伯さんは素直に信じて、神凪さんに質問を投げる。
私の背筋を、滝のような汗が伝った。
『お願い、お願い!!』と、必死に念を送ったのが通じたのか。


「……そうだったような」


神凪さんはニヤニヤしながら、記憶を手繰るように宙を見上げた。
借りを作ったようで癪だけど、話を合わせてもらえて、私はホッと吐息を漏らす。


「佐伯さん、運航管理部にご用でしょう? 待たせたら大変」

「ああ、うん。行ってくるね」
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