魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
照明をグッと抑えた仄暗いラウンジに、ピアノの生演奏の音色が響く。
大人っぽいシックなラウンジのムードを演出する、しっとりと物憂げな曲だ。
私は今、大きな窓ガラスに面したカウンター席に座り、東京の煌めく夜景をボーッと眺めている。
ここは、羽田空港から目と鼻の先にある、高級ホテルの高層ラウンジだ。
週末を迎えるせいか、もうすぐ日付が変わる時間にもかかわらず、仕事帰りのデートといった感じのお洒落なカップルの姿が、ラウンジのあちこちに確認できる。
それに引き換え私は、パーカーとデニムという普段着で、この雰囲気にまったくそぐわない。
私は居心地悪くなって、テーブルに額を預けて突っ伏した。
「おい。寝るな」
間髪入れずに、隣から刺々しい声がかかる。
「お前のキールロワイヤル。この間のギムレットよりは軽いけど、水じゃないんだから。調子に乗って飲みすぎると……」
「酔ってないから大丈夫です。放っといてください」
肩に掛けられた手を払うと、短い溜め息が返ってきた。
「そんなに嫌なら、すっぽかせばよかったのに」
「言われなくてもそうするつもりでしたよ。でも、佐伯さんが……余計な気回ししてくれちゃって」
思い出しただけで涙がジワッと浮かび、視界が歪む。
私は彼とは逆方向に顔を背けて、声を沈ませた。
大人っぽいシックなラウンジのムードを演出する、しっとりと物憂げな曲だ。
私は今、大きな窓ガラスに面したカウンター席に座り、東京の煌めく夜景をボーッと眺めている。
ここは、羽田空港から目と鼻の先にある、高級ホテルの高層ラウンジだ。
週末を迎えるせいか、もうすぐ日付が変わる時間にもかかわらず、仕事帰りのデートといった感じのお洒落なカップルの姿が、ラウンジのあちこちに確認できる。
それに引き換え私は、パーカーとデニムという普段着で、この雰囲気にまったくそぐわない。
私は居心地悪くなって、テーブルに額を預けて突っ伏した。
「おい。寝るな」
間髪入れずに、隣から刺々しい声がかかる。
「お前のキールロワイヤル。この間のギムレットよりは軽いけど、水じゃないんだから。調子に乗って飲みすぎると……」
「酔ってないから大丈夫です。放っといてください」
肩に掛けられた手を払うと、短い溜め息が返ってきた。
「そんなに嫌なら、すっぽかせばよかったのに」
「言われなくてもそうするつもりでしたよ。でも、佐伯さんが……余計な気回ししてくれちゃって」
思い出しただけで涙がジワッと浮かび、視界が歪む。
私は彼とは逆方向に顔を背けて、声を沈ませた。