魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
「え?」
「もう少し作業続けたかったから、残業するつもりだったのに。佐伯さん、どうしてだか、神凪さんのフライト知ってて。『この後約束してるんだろ? いいからいいから』って、有無を言わさずに追い出してくれちゃって……」
「容易に想像がつくな。可愛い後輩にやっと春が来たって、喜んでるんだろ」
神凪さんが、しれっと口を挟む。
誰のせいだと思って……と反論したいのに、憤慨を上回る屈辱感で、浮上できない。
「なんだよ。不服か?」
私が黙り込んだからか、彼がそう訊ねてきた。
――違う。そんな単純な話じゃない。
多分、相手が普通の人じゃなく、神凪さんだから。
私が『空の人』に見染められたと勘違いしてるから、『よかったね』って自分のことのように喜んでくれるのだ。
可愛い後輩とかは関係ない。
でも、神凪さんの誤りを正したら、卑屈だなんだと罵られるのが目に見えてるから、私は言葉をのみ込んだ。
グスッと鼻を鳴らしてから、緩慢に頭を起こす。
カクテルグラスを両手で支え、睨むように見つめて涙を堪えた。
神凪さんは、生ビールのグラスを揺らしていたけれど。
「すみません、お代わり」
最後に軽く呷ってから、ウェイターに二杯目をオーダーした。
軽く座り直して、私の方に身体を向けると。
「泣くな」
「……え?」
「お前を泣かせたなんて知れたら、俺が佐伯に殴られる」
「もう少し作業続けたかったから、残業するつもりだったのに。佐伯さん、どうしてだか、神凪さんのフライト知ってて。『この後約束してるんだろ? いいからいいから』って、有無を言わさずに追い出してくれちゃって……」
「容易に想像がつくな。可愛い後輩にやっと春が来たって、喜んでるんだろ」
神凪さんが、しれっと口を挟む。
誰のせいだと思って……と反論したいのに、憤慨を上回る屈辱感で、浮上できない。
「なんだよ。不服か?」
私が黙り込んだからか、彼がそう訊ねてきた。
――違う。そんな単純な話じゃない。
多分、相手が普通の人じゃなく、神凪さんだから。
私が『空の人』に見染められたと勘違いしてるから、『よかったね』って自分のことのように喜んでくれるのだ。
可愛い後輩とかは関係ない。
でも、神凪さんの誤りを正したら、卑屈だなんだと罵られるのが目に見えてるから、私は言葉をのみ込んだ。
グスッと鼻を鳴らしてから、緩慢に頭を起こす。
カクテルグラスを両手で支え、睨むように見つめて涙を堪えた。
神凪さんは、生ビールのグラスを揺らしていたけれど。
「すみません、お代わり」
最後に軽く呷ってから、ウェイターに二杯目をオーダーした。
軽く座り直して、私の方に身体を向けると。
「泣くな」
「……え?」
「お前を泣かせたなんて知れたら、俺が佐伯に殴られる」