魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
***


私は今、この後にフライトを控えた787のコックピット内にいる。


『コックピット、ギアダウンお願いします』


ザザッとノイズが走った後、カンパニーラジオの無線に乗って、佐伯さんの声がコックピットに響いた。


「ギアダウン」


ドアの前に佇む私の目前で、左側の機長席に座った遥の彼、鬼機長の久遠さんが呼応する。


「ギアダウン、ラジャー」


右側の副操縦士席の神凪さんが復唱して、ランディングギアレバーを操作した。
ウィーンと音がして、格納扉が開いた。
ゴトッという微かな振動が、メインギアが下りたことを知らせてくれる。


『ギアダウン確認。こちらから見る限りスムーズですが、引っ掛かる感じありましたか』


機体の下に回って作動チェックをしている佐伯さんが、問いかけてきた。
久遠さんが、神凪さんをチラッと見遣る。


「いや、問題ないようだ」

『じゃ、続けてアップお願いします』


神凪さんが再びレバーを操作し、ギアを格納する。


『ギア格納確認。どうですか?』

「ダウン、アップ共に異常ありません」


彼の返答に久遠さんも無言で何度か頷くのを見て、私は無意識に吐息を漏らした。
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