魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
マンションに帰ると、私は食事もとらずにシャワーを浴びた。
明日も早番だ。
テレビを観ながら寛ぐこともせず、ベッドに潜り込んだ。


目を閉じて眠ろうとするのに、先ほどの神凪さんと今野さんの姿が網膜に焼きついていて、目蓋の裏に浮かび上がってくる。
思考回路が活発になってしまい、眠ることに集中できない。


絶対、ただの同期じゃない。
なにも知らない私がそう断言できるくらい、二人は親密な空気を漂わせていた。


私の前にいる時とは違う神凪さん。
佐伯さんと話している時ともまた違う。
いつも飄々としていて、のらりくらりと相手をかわして掴みどころがない。
感情を剥き出しにするなんて、彼らしくない。
そりゃ私は、自信を持って胸を張れるほど、彼を知らないけれど。


『本気』。
そう。今野さんとぶつかる彼から伝わってきたのはそれだ――。


「…………」


私はモゾッと寝返りを打って仰向けになり、天井を見つめた。
遥も、ミステリアスだと言っていたっけ。
私にも佐伯さんにも、誰にも本当の顔は見せない男。
でも、今野さんと話していた神凪さんは、『本物』だった。
どうしてだかわからないけど、そう確信している自分がいる。


神凪さんは今野さんを心配して、話を聞くと言った。
大丈夫だと言い張る彼女を、思い余った様子で抱き寄せた。
今野さんと対していた時の、本気、本心――。


「っ……」
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