魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
秋晴れの空に恵まれた、十月最終週の今日。
午後一時。
鳥取空港から戻ってきた便の乗客乗員、すべての降機が終了し、ボーディングブリッジが外れた。
さあこれから、この飛行機が再び鳥取空港に飛ぶまでの二時間、ここは私たちの戦場だ。


「左右に分かれて、ボディチェック開始。航空灯、衝突防止灯、ノーズ灯、諸々のライト全部、損傷がないか確認して。ボディの傷みやへこみも見逃すなよ」


今日は佐伯さんが休みで、うちのチームの整備主任がみんなに指示を出す。


「はい」


スポットに集まった八人のメンバーが呼応して、それぞれ左右に分かれて点検作業を始めた。


「椎名は俺とタイヤチェックしよう。こっち来い」


T整備勉強中の私を、主任が機体の下へと手招きしてくれる。


「はい」


私は小走りで近寄って、タイヤの点検を始めた。
そうこうしているうちに、隣のスポットに別の便が到着した。


確か、新千歳からの折り返し便のはず。
機体の下から顔を出して仰ぎ見ると、グランドハンドリングスタッフを乗せたボーディングブリッジが、出入口に向かって伸びていた。
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