先生と私の三ヶ月
「ガリ子、お前の事が大好きなんだ。さっきお前に嘘だと言われて落ち込んだよ。しかし、お前がどんなに否定したって、俺はお前が好きだ。だから、俺はガリ子にだけは強気に出られないんだ。お前に嫌われたくないから」
 サラサラの黒髪に触れると、ガリ子の頭が少しだけ動いた。

「ガリ子。本当は今すぐお前が欲しいよ。性欲じゃないぞ。お前が愛しいから、心も体も欲しくなるんだ。だが、我慢している。お前を泣かせたくないから」
 こんな情けない事を口にするなんて自分でも信じられない。
 最初は小説の為にガリ子を利用していただけだったが、今は嫌われまいと必死だ。

「ガリ子。俺はお前しか見ていない。俺が欲しいのはお前だけだ。他の女なんか眼中にないんだよ。お前以外の女とキスする訳ないだろ」

 ガリ子は黙ったままだった。
 やはり、まだ怒っているのか?

 とりあえず今夜は寝かせておくか。
 明日の朝、酒が抜けたガリ子にきちんと俺の気持ちを話そう。

「明日は物を投げるなよ。おやすみな」
 ガリ子の頭を撫でてからベッドから立ち上がった。
 離れようとしたら腕を掴まれた。

 振り返ると、背を向けたままのガリ子が俺の腕を掴んでいた。

「ガリ子?」
「先生、今の言葉、信じていいの?」
 涙に震えた声だった。
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