先生と私の三ヶ月
「望月様は今、外出しているようです」
 フロント係が言った。

「どこに行ったんですか? いつ戻るんですか?」
 フロント係のお姉さんが困ったような表情を浮かべる。

「すみません。どちらに行ったのか、いつ戻るのかはわかりません」
 そうだよね。そこまで言って出かけないよね。
 ここで先生の帰りを待つか。それとも探しに行くか。あるいは……。

 黒田さんから託されたショルダーバッグに視線を落とした。

 先生に叱られた事を思い出して、胸がズキッとする。
 最後に会った時の先生、私を拒絶するような冷たい目で見ていた。その顔にはもう、お前なんか必要ないと書いてあるようだった。

 やっぱり先生に会えない。

 このまま帰ろう。
 
「あの、この荷物を望先生に渡して頂けますか」
 ショルダーバックをカウンターの上に置いた。

「かしこまりました。望月様にお渡しします」
「よろしくお願いします」
 フロント係に頭を下げて、ホテルを出た。
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