先生と私の三ヶ月
 ホテルの外に出ると、夜の色が濃くなっていた。オレンジ色の街灯に照らされた通りを、さっきよりも歩く人が増えた気がする。みんな楽しそう。これから夕飯を食べに行ったりするのかな。

 オムレツが名物だってガイドブックに載っていたな。せっかくだから食べに行こうか。

 あ、帰りのバス……。もうないんだった。

 今夜はどこかに泊まって、始発のバスに乗ればいいか。
 バスの時刻を確認しないと。確かバス停に時刻が書いてあった。

 あれ……。
 
 視界が歪んで、前がよく見えない。

 目の奥が熱い。

 喉の奥が締め付けられる。

 どうしたんだろう、急に、なんか……。
 
 ダメだ。

 泣いちゃ、ダメ。

 我慢しなきゃ。

 唇を噛みしめて堪えるけど、涙が溢れて鼻水まで出てきた。

 やだ。みっともない。
 何やっているんだろう。

 ジーパンのポケットからティッシュを取り出そうとした時、いきなり強く背中を押され、石畳の上で尻もちをついた。
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