先生と私の三ヶ月
意思の強そうなキリッとした眉に、印象的な二重の大きな目、鼻筋が通った端正な顔立ち――望月先生だ。
「ほら、掴まれ」
差し出された手を掴むと、やや高い体温が伝わってくる。その逞しい手は簡単に私を引き上げ、歩道に立たせた。
「先生……」
声が涙ぐんだ。言いたい事は沢山あるのに、感情が声を奪う。それでも気持ちを言葉にしたくて、先生に抱き着いた。水色のシャツからムスクの甘いコロンの匂いがする。先生の匂いだ。
「先生、会いたかったです」
口にした途端、感情が溢れて、また涙が浮かんだ。先生の水色のシャツを濡らしそうになって、慌てて、先生の胸元から離れようとしたら、先生の腕が背中に回って、抱きしめられた。
より先生と密着した事で、心臓が熱くて、うるさい程、鼓動が鳴っている。すぐにでも先生の腕から逃げ出すべきだと思うけど、先生を感じていたい。クビになってからのこの10日、先生と離れている事が苦しくて堪らなかった。
先生の胸から顔を上げると黒い瞳と目が合った。
その目はいつも悲しそうで、心配になる。きっと先生はとても悲しい想いをして来た人だ。
「先生……」
私にも先生の悲しみを受け止めさせて下さい。そんな言葉が喉の奥までせり上がる。だけど、言葉を飲み込んだ。流星君の時みたいに、踏み込んではいけないと思ったから。
「どうした?」
言いかけた私を先生が怪訝そうに見る。
「先生、会いたかったです」
私の言葉にふっと先生が口の端を上げた。
「同じ事ばかり言ってるぞ」
「……すみません。なんか胸がいっぱいで」
「ガリ子、よく来たな」
笑顔の先生にほっとした。どうやらモンサンミッシェルまで来た事を先生は怒っていないようだ。オレンジ色の街灯に照らされた先生は、今まで見たどの表情よりも優しかった。
「ほら、掴まれ」
差し出された手を掴むと、やや高い体温が伝わってくる。その逞しい手は簡単に私を引き上げ、歩道に立たせた。
「先生……」
声が涙ぐんだ。言いたい事は沢山あるのに、感情が声を奪う。それでも気持ちを言葉にしたくて、先生に抱き着いた。水色のシャツからムスクの甘いコロンの匂いがする。先生の匂いだ。
「先生、会いたかったです」
口にした途端、感情が溢れて、また涙が浮かんだ。先生の水色のシャツを濡らしそうになって、慌てて、先生の胸元から離れようとしたら、先生の腕が背中に回って、抱きしめられた。
より先生と密着した事で、心臓が熱くて、うるさい程、鼓動が鳴っている。すぐにでも先生の腕から逃げ出すべきだと思うけど、先生を感じていたい。クビになってからのこの10日、先生と離れている事が苦しくて堪らなかった。
先生の胸から顔を上げると黒い瞳と目が合った。
その目はいつも悲しそうで、心配になる。きっと先生はとても悲しい想いをして来た人だ。
「先生……」
私にも先生の悲しみを受け止めさせて下さい。そんな言葉が喉の奥までせり上がる。だけど、言葉を飲み込んだ。流星君の時みたいに、踏み込んではいけないと思ったから。
「どうした?」
言いかけた私を先生が怪訝そうに見る。
「先生、会いたかったです」
私の言葉にふっと先生が口の端を上げた。
「同じ事ばかり言ってるぞ」
「……すみません。なんか胸がいっぱいで」
「ガリ子、よく来たな」
笑顔の先生にほっとした。どうやらモンサンミッシェルまで来た事を先生は怒っていないようだ。オレンジ色の街灯に照らされた先生は、今まで見たどの表情よりも優しかった。