先生と私の三ヶ月
 ふわふわのオムレツがテーブルに運ばれて来ても、先生はまだ笑い転げている。目には涙まで浮かべて。

 金髪碧眼のウェイターさんが不思議そうな表情を浮かべ、私たちの前にオムレツを置いてくれた。

 私は先生を無視してふわふわオムレツにフォークを入れ、口に運んだ。
 うほっ。これは! オムレツって言うより、なんかシフォンケーキ! これ、卵をめちゃくちゃ泡立ているんだ。卵を共立てで泡立てたケーキの生地をフライパンで焼くとこんな感じになりそう。
 うーん、不思議な触感。クセになりそう。あっ、添えられているジャガイモとベーコンのも、美味しい。ムール貝の白ワイン蒸しもいいお味。美味しい物を頂くとやっぱり幸せになるよね。

 先生に視線を向けると、まだ笑っている。
 あえて視界に入れないようにしていたけど……いくらなんでも笑い過ぎ。

「先生、お料理冷めますよ。作ってくれた人に失礼ですから、笑っていないでちゃんと召し上がって下さい」
「笑わせたのはガリ子だろう。俺が双子の弟だって?どこからそんな発想が出てくるんだ。ガリ子はSF小説、いや、ブラックコメディが書けそうだ。全く、お前って奴は本当におかしな事ばかり言う。ああ、腹がよじれる」

 自分でもちょっと飛躍し過ぎた事を言ったかなと思う。でも、それぐらい今夜の先生に違和感があるというか……。

「なんだ、怒ったのか」
 黙って白ワインを飲んでいると先生が言った。
 私の機嫌を伺うなんて、やっぱり先生らしくない。

「別に怒ってませんけど」
「その言い方が怒っている」
「だって先生、今夜は優しいから違う人みたいで」
「お前の事が好きなんだよ。誰だって好きな奴には優しくなるだろ」

 好き……?
 今、先生、私の事好きだって言ったの?
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