コンクリートに蝉の抜け殻
「いやでも、全然落ちるかもしれないけど」
「そこは、受かってほしいな。やりたいことやってる保科が見たい」
「……がんばります」
「一緒に勉強してくれるんでしょ?」
「うん。絶対」
横断歩道の全然ない道を、再び歩いていく。
蝉の抜け殻は相変わらずいっぱい見つけられて、たまにポイ捨てされたごみも見受けられて、それでもこのまちを、嫌いになることはできなくて。
「保科のせいだね」
「えっ、俺?」
「うん。このまちのことが好きなの、保科の影響だなあって。保科が都内に行っても、たぶん、保科との思い出を感じて大好きなままだろうし。それって、保科のこと大好きだからだなあって思って」
保科は大きくわらった。夏のいいところを全部詰め込んだみたいな、そんな笑顔だった。
「俺もね、永倉に対してそう思ってるよ」
ないしょ話をするみたいに打ち明けた保科に、わたしも笑みがこぼれてしまった。
「おそろいだね」
「だな。おそろい、いっぱい探してこうぜ」
頷くことに躊躇がなくなった。汗が首筋を伝っていく。