笑顔が消える
どうして

どうして·····
資産整理なんて
   したんだろう

あいつが、あんな事を
言わなければ······

どうしてよいのか
わからずに人にあたる様な事を考えていた。

愚かな·····

 本当に····愚かで······馬鹿だ······


彩代は、
妻としてきちんとやってくれていた。

彩代が、いてくれたから
子供達の事を心配しなくて良かった。

疲れて帰っても
温かいご飯と温かいお風呂
洗濯物もフカフカで良い匂いがした。
ベッドのシーツも枕カバーも
綺麗にされていて
ワイシャツもアイロンがかけられていて
袖を通すと気持ち良かった。

俺は、いったい
  何をやっていたんだ。

付き合って
結婚が決まった時に
あの紙を書いた。

「「ありえないね。」」
と、言いながら
二人で笑いあった
そんな事も忘れていた。

あなたの疲れが取れないと
行けないからと寝室を別にした。

だが、週末は一緒に寝ていた。
抱き合わなくても
一緒に寝ていた。
いつから、それもなくなった?

会話もろくにして来なかった。

あんなに好きで結婚したのに 
今日、久しぶりに彩代の顔を見た。

悲しみ、苦しみ、辛さ、憎しみ
色々な表情の彩代を。

涙を瞳にいっぱいためる彩代。

いつから彩代の顔をまともに見て
いなかったのだろう

気がつくと家の電話が
なっていた。

電話にでると
父親からで
怒涛の如く怒鳴られて
「明日離婚届を記入して
持って来い。
いいな、必ず持ってこい。」
と、言われて電話を切られた。
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