笑顔が消える
資産整理?

長男・空也 ( あや )
長女・真代 ( まよ )
次男・星也 ( せな )
に、資産整理で自宅の売却を
お父さんが考えていると話すと

空也は、私達の老後を考えて
『二階の登り降りは、大変になるのでは
と、考えていた。』と、言った。

真代は、
『小さい時から育った家が
なくなる事が寂しいけど
思うように家の手伝いが出来ないから
お母さんとお父さんが思うようにして。』
と、言った。

星也は、
『二人の思うようにして欲しい。』
と、言い
『自分は、地元にいることはないと
思うからと。』

三人の言葉を修也さんに伝えた。

それから修也さんは、本格的に
資産整理を始めた。

初めの頃は、
「ここは?」とか
「売却額が?」とか話してくれていたが
段々と何も言わなくなり
だが、頻繁に土日のどちらかには
「マンションを見に行ってくる。」
と、言う
「私も見なくて良いのですか?
そんなに毎週見る物件があるのですか?」
と、訊ねたが
「まだ、決まらないから良い。」とか
「色々見せて貰っている段階だ。」とか
修也さんにしては歯切れが悪い

そんな中、
「土日のどちらかに
物件探しをしているから
金曜日は、残業をしないといけない。」
と、言い始めた。

土曜日に交代で勤務をすることは
あったが、だからと金曜日に
残業を毎週することは
今までなかった。

その上、金曜日は
夜中に帰ってきて
準備をした夕飯も食べずに
お風呂にも入らずに寝てしまう。

どこかで·····食べて?
お風呂まで····済ませて····?

こんな遅くまで仕事が
あるはずない······
わかっていても
   疑いたくなかった。

修也さんが·····浮気なんて····

  あるはずがない·····

なんども打ち消すが
月曜日から木曜日は、
八時位には帰宅するが
覇気もなく食事をして
お風呂に入ると少しだけテレビを観て
自分の部屋に行く。

ほとんど会話もない。

私がいることも見えてない
ようだ·······

だが、金曜日の朝と
土日のどちらかには
浮き足立っているのがわかる。

もう、修也さんの中に
私はいないとわかった。

何が行けなかったのだろうか?

子供達が家をでてから
子供達以外の部屋もあり
修也さんに
ゆったりして欲しくて
私は主寝室から余っている部屋で
寝るようにした。

最初は、修也さんは寂しがって
私の部屋に来て一緒に寝たり
抱き合ったり
年を重ねても私達は
ずっと変わらないと思っていた

それは、私だけの思いだったんだ·····と。
< 13 / 57 >

この作品をシェア

pagetop