破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「……私の身柄は、もし彼がどこか敵国に身を寄せるのなら、良い手土産となるでしょうね。コンスタンスは、候補者の中から私を妃にすると貴族たちの前で既に宣言してしまった後だから。生きていて敵国に居るのなら、国のためだからと言って簡単に切り捨てられないでしょう。ディアーヌ……落ち着いて聞いて欲しいんだけど……」
「言わなくても、わかっているわ。そこまで、バカではないもの。私は……ラウィーニアとは違って何の交渉道具にも、ならないものね」
私はつらい表情を浮かべる彼女を安心させたくて、二の腕をさすった。
王太子妃となる予定のラウィーニアの身柄と、彼女の親族とは言えただの貴族の娘でしかない私の身柄。少なくとも、この国の政治的には命の重さは釣り合わない。
もしこの国の王や亡命する他国への何かの交渉のカードとするなら、ラウィーニア一人で十分だろう。
けれど、私には自分では考えたくもない利用価値がある……これから、ひどい状況になり得ることもわかっているから、ラウィーニアはこうやって険しい表情になっているのだ。
「言わなくても、わかっているわ。そこまで、バカではないもの。私は……ラウィーニアとは違って何の交渉道具にも、ならないものね」
私はつらい表情を浮かべる彼女を安心させたくて、二の腕をさすった。
王太子妃となる予定のラウィーニアの身柄と、彼女の親族とは言えただの貴族の娘でしかない私の身柄。少なくとも、この国の政治的には命の重さは釣り合わない。
もしこの国の王や亡命する他国への何かの交渉のカードとするなら、ラウィーニア一人で十分だろう。
けれど、私には自分では考えたくもない利用価値がある……これから、ひどい状況になり得ることもわかっているから、ラウィーニアはこうやって険しい表情になっているのだ。