破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「私が別れてすぐに、あのランスロットと踊っていたら……やっぱり、クレメントへの何かがあるのかと疑われてしまうわ」

 人目は気にならないとは言えない小心者の私がそう言えば、ラウィーニアは大きく息をついて言った。

「そう思いたい人間には、思わせておけば良いでしょう。そんな大したことない噂なんて、三ヶ月も経てば続々と出てくる新鮮な話題に埋もれて、いつの間にか誰にも忘れられているものよ。名前も知らないような人が、何を言おうと気にしてていても仕方ないでしょう。それに失恋に一番良いのは、新しい恋よ。古今東西、そういう風に決まっているもの」
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