破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
 黒い夜の中に、ゆらめく赤い火。

 その色を見て私はなんとなく、終わった恋の相手を思い出してしまった。別に今未練なんか、全然ないけど。

 ただただ、色で連想してその人を少し思い出しただけ。あの時は、本当に好きだったなぁって、そう思うだけ。

「……あんな風にして過去の恋って、燃えるのかもしれない。きっと次の恋をしたら、綺麗さっぱりなくなってしまうのよ」

 私がぽつりと呟いたら、低い声でランスロットは答えた。

「では、僕らの恋は氷漬けにしてしまおう。絶対に、燃えることのないように」

 明るい赤い火に照らされる、ランスロットの真顔を見た。それは冗談が冗談に聞こえない彼らしい言葉のあやだと、頭ではちゃんと理解してはいてはいても。

「ちょっと……もう。本当に出来そうだから、なんか怖いんだけど?」

 そうして、私達二人は微笑み合う。これからも、ずっと一緒に。


Fin

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