【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 ラーシュはカリーネよりも一歩前に出て、その前に進路を塞ぐように立ったため、思わずカリーネも足を止めた。何をされるのかと思って身構えた彼女だが、ラーシュはカリーネの頬をツンとついただけ。

「今日も、頬袋に食べ物は入っていないんだな。腹が減っただろう」

 とラーシュには言われるが、実はさほどお腹は空いていない。

「あそこの角を曲がると食堂が見える。こちらの教室から食堂に向かうものは少ないが、研究棟の奴らはわりと利用しているんだ」

 ラーシュの手はカリーネの手を捉えて離さない。そのままラーシュに連れられて食堂の方へと向かう。
 がやがやと人が集まっているのが見えた。どうやらあそこが食堂の入り口のようだ。人が集まっているのは今日のメニューを確認しているからだ、とラーシュが口にする。

「カリーネは嫌いなものがあるのか?」

「特にありません。ですが、多分、そんなに食べることができません……」

「君は食が細いと思っていたが。食べられる量も少しずつ増やしていった方がいいぞ? だからそんな棒切れみたいな体つきなんだ。そんな身体では赤ん坊も産めないだろう」
 むぅ、とカリーネはまた頬を膨らませる。

「ほら、好きな食べ物をこのトレイにのせるんだ。君はセットメニューよりも単品をいくつか選んだ方がいいだろう」
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