【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「え」
 そんな近くまでやられているという事実が、他人事ではないという気持ちにさせる。

「あそこはわりと大きな工場(こうば)で、いろんな魔導具を作っているけれど。やられたのは、その魔導具製作に必要な部品を根こそぎ盗られたって。だからね、今、その部品集めに躍起になってるし、作るはずだった魔導具を作ることもできないから、工場で働いている人を休ませてるとかって言ってたわね。ここは小さなところだから、盗まれるようなものも限られてるけれど、それでも魔導具はお客様からの預かりものだからね」

「はい、わかりました」
 と口にはするが、まだ工場荒らしの犯人が捕まっていないだけに、少し気味が悪い。一人で地下へと続く階段を下りるのも、少し怖いと感じてしまうくらいに。
 地下室の扉の鍵穴に、ハイケから預かった鍵を挿す。ギギィ、といつもよりその音が大きく聞こえた。
 もちろん、工房の中には誰もいない。それに、工場荒らしが出るのは人目のつかない夜間と言われている。こんな真昼間からいるわけないだろう、と自分自身に言い聞かせて、カリーネは先ほどの続きに取り掛かった。

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