寡黙なトキくんの甘い溺愛
◇
「にしても、ドッチ惜しかったねぇ~。せっかく砂那がハチマキを作ってくれたのに、早々にアウトになってしまってごめんね」
「私もごめん!」
「私も~すごく良いハチマキなのに」
「え、いいよいいよ!皆が楽しくドッチできたなら、それが一番だよっ」
あれから――
晩御飯もお風呂も終わって、就寝前のくつろぎタイム。
女子数人で集まって、布団の上でお菓子を食べながら談笑している。
今まであまり話してこなかった子とも、今日はたくさん話せている。それだけでもハチマキを作った甲斐があって、無謀な事だったけど、やって良かったって思える。
「けど、最後の大橋くんとトキくんすごかったよね!」
「うんうん!本当、王子様みたいに見えて……カッコいい~」
「砂那ちゃん、あの二人に揉みくちゃにされてたよね?大丈夫?」
「あ、あはは……何とか」
どっちが私を守るという勝負は、どうやら外野たちには聞こえていなかったらしい。
良かった……。
こんなに噂されている二人が、私の事で揉めているなんて、口が裂けても言えないもん……。いや、もしも事実を言ったとしても、「まさかー」って冗談で終わるのがオチかな?うん、なんかそっちの方が現実味がある。
はぁ――自分で想像してて、ちょっと悲しくなってきた。こんな想像の世界でも自分を卑下するなんて……本当に悪い癖だなぁ……。