寡黙なトキくんの甘い溺愛






「にしても、ドッチ惜しかったねぇ~。せっかく砂那がハチマキを作ってくれたのに、早々にアウトになってしまってごめんね」

「私もごめん!」
「私も~すごく良いハチマキなのに」

「え、いいよいいよ!皆が楽しくドッチできたなら、それが一番だよっ」



あれから――

晩御飯もお風呂も終わって、就寝前のくつろぎタイム。

女子数人で集まって、布団の上でお菓子を食べながら談笑している。

今まであまり話してこなかった子とも、今日はたくさん話せている。それだけでもハチマキを作った甲斐があって、無謀な事だったけど、やって良かったって思える。



「けど、最後の大橋くんとトキくんすごかったよね!」
「うんうん!本当、王子様みたいに見えて……カッコいい~」
「砂那ちゃん、あの二人に揉みくちゃにされてたよね?大丈夫?」

「あ、あはは……何とか」



どっちが私を守るという勝負は、どうやら外野たちには聞こえていなかったらしい。

良かった……。

こんなに噂されている二人が、私の事で揉めているなんて、口が裂けても言えないもん……。いや、もしも事実を言ったとしても、「まさかー」って冗談で終わるのがオチかな?うん、なんかそっちの方が現実味がある。


はぁ――自分で想像してて、ちょっと悲しくなってきた。こんな想像の世界でも自分を卑下するなんて……本当に悪い癖だなぁ……。



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