婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
元々、ジュリエットも負けず嫌いではあるが、新たな記憶が加わった事によって色んな人に対処出来る方法を知っている。
とりあえずは上手くいなせたのではないかと、ホッと胸を撫で下ろしていると、キャロラインの表情が和らいだ。


「君……面白いね」


その言葉と共に、ぐっと腕を引かれたと思いきやリロイの顔が目の前にある。


「ーーー!?」

「気に入ったよ」


腰に回される手と、すっと耳元に寄る唇から囁く低い声に目を見開いた。


「ーーーちょっと、リロイッ!」


キャロラインの甲高い声が耳に届いた瞬間ーー。
胸元を思いきり掴んで体を離す。
二次元ならば良くある胸キュン展開なのだろうが、いくらイケメンだろうが顔が可愛かろうが突然、初対面の男に抱きつかれて言うことは一つだけである。


「…………今すぐ離して下さい」

「!!」


そっと離れる体……リロイを射抜くように睨み付けた。


「まだ私はリロイ様の名前しか聞いておりません」

「……!」

「突然、触れるのは辞めて下さい」


そう言って笑みを浮かべた。
思ったよりも冷静に対応出来て、リロイを殴り飛ばさなかった自分を褒め立ててあげたいくらいだ。

しかし相手は公爵家の令息であり、ベルジェの友人でモイセスの弟だ。
『やっちまったー』と心の中では思いつつも、リロイの次の反応を窺っていた。
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