婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
四方八方から甲高いヒステリックな声が響く。
当の本人は後ろで高みの見物をしている。
きっと扇子で隠されたは口元は大きく弧を描いている事だろう。
こうして本人が絶対に手を下さずに、嘘と真実を織り交ぜて情報操作を行いながら人を上手く動かしている。

(すぐに仕掛けてくると思ったけど、先ずはこうきたか……)

リロイも何パターンか予測していたが、周りの令嬢達を巻き込んだ緻密な作戦はさすがと言ったところだ。

(……きっと、マルクルスも最後のチャンスとか言われて連れてこられたのでしょうね)

ギャーギャーと騒ぎ立てる令嬢達の前で片手を上げる。
喋る間も無く責められるのを止める為だ。


「あの……ここでは目立ちますのでアチラのお部屋で、お話し致しませんか?丁度、誰もいませんし」

「ふん、まぁいいわ……!」

「この身の程知らずに分からせてあげましょう!ねぇ、アイカ様」

「そうねぇ……今すぐ、今までの発言を撤回するなら許してあげてもいいわよ?」

「今までの発言とは何でしょうか?」

「…………馬鹿ね」


フッと鼻で笑ったアイカは此方に見せつけるようにして、音を立てて扇子を閉じた。


「此方からも一つ、宜しいでしょうか?」

「何よ……!図々しい」

「フフッ、何かしら?」
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