婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
上目遣いでベルジェの腕を取ったアイカは胸を擦り寄せている。
劣勢に立たされたら直ぐに手のひらを返して、この場で一番影響力がある人に擦り寄る……とてもアイカらしいやり口だが、いつもと違って焦りが見え隠れしている。


「ベルジェ殿下は、わたくしを気に入って下さってますよね?お茶も何度も御一緒致しましたし、お話しました!!こんな事をしてくれたのはルビー以外に、わたくしだけでしょう!?」

「…………は?」

「わたくしこそがベルジェ殿下に相応しいのです……っ!」

「……アイカ嬢は一体、何の話をしているんだ?」


ベルジェはアイカの腕を引き抜いた後、ノーを突き立てるように手を伸ばしている。


「わたくしを綺麗だと、好きだと言ってくれたではありませんか……!」


それを聞いて、思わずベルジェを見ると彼と目が合った。 
大きく目を見開いたベルジェは顔を歪めた後に叫ぶように答えた。


「ーーー俺はッ、ジュリエット嬢が好きだ!」

「!!」

「なっ……!?」

「勘違いをさせたなら申し訳ないが、俺はアイカ嬢を特別だと思った事はない」

「…………ッ!」
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