婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「モイセス様は覚えていないかもしれませんが、わたくしは、あの柔らかいブラウンの髪と優しいエメラルドのような瞳をずっとずっと……覚えておりますの」


ほんのりと頬を赤く染めたルビーは、本当にモイセスに想いを寄せているのだと思った。


「その後、泣き止まないわたくしを不器用ながら、ずっと励まして下さいました。家まで送って下さる間、悲しい思いが少しでも和らぐようにと……」

「…………そんな事が」

「あの時から、わたくしの心の中にはずっとずっと……モイセス様しかおりません」


それからカイネラ子爵達はかなり過保護になったようだ。
それがジュリエットが更に自分を妬む要因ではないかとルビーは語った。
だが、それも少し違うと思った。

パッと見ると、ルビーが令息達に対して来るもの拒まずな態度を取ることや婚約者を作らない事にも原因があるのではないかと、何気なく問いかけてみると「それはベルジェ殿下と同じ理由ですわ」と答えた事に目を丸くした。


「過度に否定すれば、大きな恨みを買う場合もありますわ……そうしたら矛先が家族に向く場合だってあります」

「!!」

「ベルジェ殿下だって、王家の為にと我慢なさるでしょう?それと同じですわ。わたくしは子爵家の生まれですから……粗相があれば直ぐに押し潰されてしまう」
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