婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「モイセス様の事情は存じております。婚約者を亡くされてから、御自分を責めて後悔なさっている事も全部……」

「…………!!」

「それにわたくしから声を掛ければモイセス様に迷惑を掛ける事は明白ですし、優しい方ですから……。だから、あの方が幸せで居てくださればそれでいいと思っていました」

「……ルビー嬢」

「わたくしは何処かに嫁ぐくらいならば、修道院に行きたいと思っております。父と母には申し訳ない気持ちでいっぱいですが、わたくしが居なくなればジュリエットも少しは……」

「………」 

「でもその前に少しだけあの方の瞳に映りたいと……そう思ったのです。ふふ、何だかんだ綺麗事を言っていても、わたくしは欲深い人間ですね」

「そんな事はない……!」

「ベルジェ殿下……わたくしの気持ちを聞いて下さり、ありがとうございます。けれど、たとえ一生振り向いてもらえなくても、わたくしはモイセス様しか愛せる自信はないのです」

「…………っ」


ルビーのあまりの一途さに心を揺さぶられた。
瞳は揺らぐ事なく真っ直ぐ此方を見つめていた。
それと同時に自分もジュリエットの事を諦めたくないとそう思った。


「ありがとう……今日、ルビー嬢と話せて良かった」

「はい」

「俺も頑張ってみたいと、そう思った」
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