Forbidden Love~どうか私に鏡を下さい。
「どうしてそんなことをご存知なんですか?」

「昔、日照りが続いてな。
生贄を異界から呼び出した時に、男が来てしまったことがあったんじゃ。
それで、当時の宮廷魔道師はクビとなり、募集がかけられたというわけじゃ。
話がそれた。
その男が、皆に異界の話をたくさん聞かせてくれた。
異界では、種火を持たずとも簡単に火が付けられ、馬を使わず油で動く乗り物があったり、遠くの者と会話が出来たり、小さな箱から声や音楽が聞こえたりするらしい。
それなのに、魔法使いはいないのだと。
全く普通の人間が、その魔法を使えるらしいんじゃ。」

話を聞いていて、だいぶ昔のことだなと思った。
多分、車と電話とラジオのことだ。
今なら、もっと進化している。
この世界は、どうして進化しなかったのかな?



(あ……)



「それで、その人はそれからどうなったんですか?」

「国王から家と土地を賜り、確か、天寿を全うしたはずじゃ。」

やっぱり、元の世界には戻れなかったんだね。
でも、寿命が尽きるまで生きられたのなら、まぁ、幸せだったのかな?



「あ、あの…ここに連れて来られた者は、もう二度と元の世界には帰れないんですか?」

「いいや、その男は自らの意思でここに残ったんじゃよ。」

「えっ!?」

私はびっくりして、おかしな声を出してしまった。
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